きっかけは、小さな驚きだった。
「え、日本酒がフランスで金賞?」
その一行のニュースに、私はついスマホを持つ手を止めました。
和食の国・日本で生まれた酒が、ワインの国・フランスで絶賛される。
その違和感は、意外にも心地よく、どこか誇らしいものでした。
ただのニュースのはずなのに、なぜかその言葉が、胸にふっと火を灯した。
それが、この物語の始まりでした。
「Kura Master」とは──舌の肥えたフランス人たちが選ぶ、日本酒の頂点
受賞の舞台となったのは「Kura Master(クラ・マスター)2025」という日本酒コンクール。
場所はパリ。
審査員は、フランス各地のトップソムリエやミシュランシェフなど 135 名のプロフェッショナルです。
1,083 銘柄の中から選ばれたのが、宮城県の新澤醸造店が手がける「日本酒原価酒蔵 あたごのまつ純米大吟醸」。
2024 年に続く2年連続の金賞受賞という快挙でした。
評価の決め手は”食との調和力“。
それは単なる美味しさ以上に、食卓でどう輝くか、料理とどんなハーモニーを奏でるか。
フランスの美食家たちは、その静かなる実力に、心を動かされたのです。
「究極の食中酒」が目指したのは”主役を邪魔しない名脇役”
この酒を造るのは、新澤醸造店の蔵元・新澤巖夫(しんざわ・いわお)氏が率いる酒蔵。
現在は杜氏・渡部七海氏のもと”究極の食中酒”を掲げ、ひとつの理想を追い求めてきました。
その理想とは『料理を引き立て、決して出しゃばらない酒』。
口に含めば、水のようにすっと溶ける。
でもすぐに、舌の奥から旨味が立ちのぼり、余韻はまるで絹のカーテンがふわりと揺れるような滑らかさ。
宮城県産「蔵の華」を 40% まで丹念に磨き上げたこの酒は、サブネーム「absolute(絶対的)」の名の通り、どんな料理にも寄り添える万能性を秘めています。
派手さはない。
けれど、心に残る。
そんな一本に、フランスのプロたちも『この酒は、ソースと共鳴する』とうなったのです。
国境を越える味わい──和食だけじゃない、日本酒の新しい未来
ここで、ひとつ思い込みを解いてみませんか?
『日本酒は和食にしか合わない』—本当にそうでしょうか?
バターで香ばしく焼いた白身魚のムニエルに、あたごのまつをそっと合わせてみる。
あるいは、塩気のあるコンテチーズとゆっくり味わう。
そんな異文化のマリアージュが、今まさにパリのレストランで始まっているのです。
つまりこれは『日本酒が世界の食卓で使われる未来』が、もう始まっているということ。
しかもそれは、誰かに押し付けられたのではなく『味』という言葉を超えた対話の中で、自然と受け入れられたということなのです。
さいごに:その一杯が、あなたの世界を少し広げてくれるかもしれない
食事は、日々のルーティン。
でも、そこに一本の酒が加わるだけで、テーブルの空気が変わることがあります。
もし今日のあなたの食卓が、少しだけ特別になったなら。
それは、宮城の蔵から、フランスを経て、あなたの元へ届いた物語の続きなのかもしれません。
グラスを口に運ぶその一瞬、静かに世界とつながる。
そんな感覚を「日本酒原価酒蔵 あたごのまつ純米大吟醸」は、きっとあなたにも教えてくれます。
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