「これ、本当に日本酒なの?」
ある試飲会で、ひと口含んだ瞬間にそうつぶやいた人がいました。
まるでワインのようなまろやかさと、時間が染み込んだような深い香り。
その一杯の裏には、私たちの想像を超える”熟成の物語”が隠れていたのです。
この記事では、兵庫県神戸市の歴史ある地下トンネル「湊川隧道」で熟成された日本酒「隧(ZUI)2025 乙巳 Ver.」の魅力を、やさしく丁寧にひも解いていきます。
湊川隧道—100 年の眠りが育む奇跡
日本初の近代河川トンネルとして誕生した「湊川隧道」。
役目を終えた今は、静かにその歴史を見守る遺産として市民に親しまれています。
トンネル内部は、年間を通して約 15℃ に保たれており、酒の熟成にとってまさに”天然カーヴ”。
そんな場所で、日本酒がじっくりと育てられる—それはまるで、時間という名の杜氏が手がける作品のようです。
「隧 ZUI」とは?—時間と自然が紡ぐ、日本酒の新しい形
「隧(ZUI)」は、この湊川隧道で 180 日間貯蔵された日本酒ブランド。
2025 年版は「乙巳(きのとみ)Ver.」と名付けられ、干支や陰陽五行の意味合いを込めた特別な年の仕込み酒です。
2020 年にスタートした日本初の『湊川隧道 日本酒貯蔵プロジェクト』から生まれ、今回で6代目となります。
地下貯蔵で変わる、酒の「表情」
日本酒の熟成は、通常は冷暗所で行われますが「隧 ZUI」はその一歩先を行く”地下貯蔵”。
たとえば、角が取れたやわらかな口当たり。
まるで絹をまとったような滑らかさが舌の上に広がります。
そして、鼻から抜けるフルーティーな香りには、どこか懐かしさと新しさが共存しています。
この変化の秘密は、湊川隧道の気候だけではありません。
瓶の密閉状態や湿度管理など、まるでお酒がゆっくりと深呼吸しているかのような環境が整えられているからこそ生まれる味わいです。
蔵元たちの想い—「時とともに生きる酒」
「隧 ZUI」は、単なる日本酒の貯蔵プロジェクトではありません。
兵庫県、早駒運輸、神戸酒心館、湊川隧道保存友の会の4者が連携し、五国兵庫の歴史文化を再発信するために立ち上げられた、意義深い取り組みです。
それぞれがこのトンネルに酒を預けるとき、そこには「この一杯が、誰かの記憶に残りますように」という願いが込められているのです。
ある酒蔵の若き蔵人は、こう語ります。
「地下に預けた酒を取り出す瞬間は、まるで我が子と再会するような気持ちになります。
触れたことのない時間に育ててもらった、そんな感覚です」
この言葉に、すべてが詰まっている気がしませんか?
数量限定という贅沢な体験
「隧 ZUI」は、毎年 3,000 本限定で販売されています。
神戸シーバス boh boh KOBE 号船内、神戸酒心館、神戸市内の酒販店などで手に入れることができる、特別な一本。
年間を通して 15℃ という安定した環境で 180 日間じっくりと貯蔵された酒は、舌触りがやわらかく、フルーティーな味わいに仕上がっています。
そんな体験は、日本酒の新しい楽しみ方を教えてくれます。
「隧 ZUI」を味わうということは—
この酒を飲むとき、ただ「美味しい」と感じるだけではない特別な感覚が訪れます。
地下 100 年の静けさ、関係者の想い、季節の移ろい……それらが一滴に凝縮され、口の中でほどけていく。
そんな一杯が、あなたの五感に優しく語りかけてきます。
「隧 ZUI」は、お酒でありながら、物語でもあり、時間との対話でもあります。
まとめ:100 年先にも語り継ぎたい酒
今という瞬間が、ゆっくりと熟成されてゆく—
「隧 ZUI」は、そんな”時間の奇跡”を体現した日本酒です。
どんなに技術が進化しても、自然と向き合い、時間に委ねることでしか得られない味わいがあります。
そう「隧 ZUI」は、現代に生まれた”未来の古酒”。
「乙巳 Ver.」という特別な節目を迎えたこの酒を、ぜひあなた自身の時間と重ねて味わってみてください。
きっとその一口が、これまでにない日本酒体験へとあなたを導いてくれるはずです。
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