「あなたの思い出に残る一杯は、どんなお酒でしたか?」
寒い夜に、父と囲んだこたつのぬくもりと一緒に味わった一杯。
友人との再会を祝った、あの華やかな香りのお酒。
そんな記憶とともにある日本酒には、時に人生を豊かに彩る力があります。
けれど、最近こんな声も聞きます。
「日本酒って難しそう」
「どれを選べばいいか分からない」
確かに、伝統ある日本酒の世界は奥深く、初心者にとっては敷居が高く感じるかもしれません。
そんな中「もっと気軽に、もっとおいしく、もっと時代に合った形で日本酒を楽しんでほしい」。
そう願いながら、長い歴史にわたり酒造りを続けてきた蔵元があります。
それが、愛知県半田市の『中埜(なかの)酒造』です。
創業1844年。老舗蔵元の”あえて変わる”という選択
中埜酒造が位置するのは、知多半島の玄関口・半田市。
かつては江戸へと酒や酢を運ぶ物流の要として栄えた港町です。
創業は江戸時代・弘化元年(1844年)。
初代・小栗冨次郎によって創業されました。
以来、時代の荒波の中でも変わらず酒造りを続けてきたこの蔵は「國盛(くにざかり)」という名で親しまれてきました。
けれど「伝統」を守るだけでは、現代のニーズには応えきれない。
そんな危機感を持った中埜酒造は、いま“革新”という選択を積極的に取り入れています。
たとえば、最新の酒造設備を導入。
職人の勘と経験に頼るのではなく、温度や湿度、発酵の状態までをデータで徹底管理するという、まさに次世代の酒造りに挑んでいます。
こうした変化に対して、ある人はこう言うかもしれません。
「機械が作った酒なんて、味気ないんじゃないの?」
でも、そうじゃないんです。
“手づくりの心”は、失っていない
たとえ機械で温度管理をしていても、そこに流れるのは職人の”目”と”感性”。
中埜酒造のスタッフはこう語ります。
「設備はあくまで”道具”。本当においしい酒を造るには、微妙な香りや味の変化を感じ取る人間の感覚が必要なんです。」
つまり”機械任せ”ではなく”人と機械の二人三脚”で酒造りをしているのです。
しかも、目指しているのは単なる大量生産ではありません。
中埜酒造は、多彩な品種の体制をとっており、個性豊かなラインナップを展開しています。
まるで、四季折々の花が咲き誇る庭園のように。
訪れるたびに新しい発見がある、そんな蔵なのです。
國盛の酒は「日常に寄り添うパートナー」
中埜酒造が手がけるお酒の中でも、特に人気を集めているのが「超特撰國盛 純米大吟醸 中埜」。
厳選された良質な山田錦を丹念に磨き上げ、じっくりと低温で仕込んだお酒です。
華やかで芳醇な香りと、濃醇な味わいが特徴の純米大吟醸酒です。
また「國盛 にごり酒」も人気があります。
蔵元でしか味わうことができなかったもろみ独特の素朴な風味が特徴で、喉越し、舌ざわりがまろやかで香りもフレッシュなにごり酒です。
「特別な日だけじゃなく、普段の食卓にも合う日本酒を」
そんな思いが込められているからこそ、飲む人の暮らしにそっと寄り添ってくれるのです。
伝統は守るものではなく、”つなぐ”もの
「変わることは、怖くない。むしろ、変わらなければ残れない」
中埜酒造の姿勢は、まさに伝統と革新の共存。
変えるべきことは変え、守るべき心は貫く。
その潔さと柔軟さが、多くの人の共感を呼んでいます。
江戸時代に誕生した清酒「國盛」は、「国の繁栄を願い、それとともに我が酒の盛んなること」を願って命名されました。
以来、その想いを受け継ぎ、より多くの人に喜んでいただけるお酒を追い求め、時代の変化に合わせて常に進化をしながら酒造りを続けてきました。
まとめ:一杯の酒に込められた、”進化する伝統”を味わう
日本酒に詳しくなくても大丈夫。
「ちょっと飲んでみようかな」と思ったその瞬間から、あなたと酒との物語は始まります。
もし次にお酒売り場で「國盛」のラベルを見つけたら、ちょっと手にとってみてください。
そこには、長い歴史と、今を生きる酒造り人たちの熱い想いが、静かに息づいています。
また、愛知県半田市にある「酒の文化館」では、現在の工場が稼働する前に実際に使われていた伝統的な酒造りの道具や、当時の職人の技を紹介しています。
建物は、伝統的な酒造りを行ってきた蔵の姿をそのまま残しており、臨場感あふれる空間を体験できます。
展示物だけではなく、映像上映やお酒の試飲体験を通して、日本酒の文化に浸り、理解を深めていただくこともできます。
「伝統」とは、過去を守ることではなく、未来へつないでいくこと。
國盛の酒を味わうことで、そんな”時間のバトン”を、きっとあなたも感じられるはずです。
【愛知県】 中埜酒造株式会社 愛知県半田市東本町二丁目24番地 https://www.nakanoshuzou.jp/
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