「酒は人を映す」と言うけれど、それは”風景”も映していた。
ある日、ふと目にした一本の日本酒。
そのラベルには、静かな筆致で「土と田と The Beginning 2024」と書かれていました。
はじめは、ちょっと不思議な名前だなと思っただけでした。
けれど、その酒を口にした瞬間—わたしは、一面に広がる霧の田んぼと、そこに息づく小さな命の気配を感じたのです。
これは単なる日本酒ではありません。
“土のにおいがする酒”とでも呼びたくなる、圧倒的に自然と共鳴した一本。
“農業からはじめる酒造り”という逆転の発想
このお酒を造ったのは、菊正宗酒造株式会社。
神戸の老舗酒蔵として知られる菊正宗酒造が手がけたこの日本酒には「未来の農業と発酵文化をつなぐ」という大きなテーマが込められています。
「田んぼが主役」の日本酒造り
『土と田と The Beginning』の最大の特徴は、“田んぼから始まる酒造り”という哲学。
京都府亀岡で農薬・化学肥料を一切使わずに育てられた山田錦が、この酒の原点です。
育てたのは、土地と共に生きる農家さんたち。
そこには、収穫だけを目的にしない「土地の循環」を見つめた農の姿があります。
「土」と「田」、そしてその共存がやがて人の集う「里」となってほしい—そんな願いが、この酒の名前に込められているのです。
この味わいには、”朝露”の透明さがある
飲むたびに感じる、静けさと清らかさ
グラスに注げば、ほんのりと黄金がかった澄んだ酒。
口に含んだ瞬間、まず感じるのは米由来の甘やかな香りと、グレープフルーツや熟したメロン、白桃などを思わせる爽やかな果実香。
そのあとに、軽快なアタックときめ細やかな酸味、上品なキレがじんわりと現れます。
まるで、霧の朝に一歩足を踏み入れたときの、あの静寂と瑞々しさのよう。
クリアな酒質でありながら、決して単調ではない。
飲めば飲むほど”土地の記憶”に触れているような感覚になります。
他にない、日本酒。ではなく、”日本の風景”を飲んでいる
このお酒の魅力は、味だけではありません。
『土と田と』という名のとおり、これは「日本酒」であると同時に「風景の詩」でもあります。
「土」と「田」と「人」の共創
菊正宗酒造はこの日本酒を通して「発酵文化」と「自然環境」を結び直そうとしています。
原料米の育成には、環境保全型農業を実践する地元の農家が関わり、仕込みには発酵の知を持つ蔵人が携わり、販売までには地域と酒蔵がひとつのチームとして動いている。
それはまさに”共創”という言葉がふさわしいプロジェクト。
パッケージデザインにも、霧に包まれた里で育まれる稲作風景や、人が動き生命が息づくからこそ生まれる泥跳ねなど、自然と人が共に生きる姿が描かれています。
「もう一度、日本酒に恋したくなる」そんな人にこそ届けたい
日本酒に対して「難しい」「味の違いがよく分からない」と感じている人こそ、ぜひ手に取ってみてほしいのが『土と田と The Beginning 2024』です。
なぜなら、この酒には“理解する”より先に、”感じる”ことができるストーリーがあるから。
・自然にやさしく寄り添う農業
・人の手でていねいに育てられた米
・風景を抱きしめるように発酵させた酒
よく冷やして、小ぶりのワイングラスで香りを立たせながら楽しむと「ああ、こんな日本酒があったのか」と、驚きとともに心がじんわり温まるはずです。
まとめ:『土と田と The Beginning 2024』は、”未来の原点”を感じる酒
「The Beginning=はじまり」という名前に込められているのは、過去への郷愁ではなく、これからの未来をどう耕していくかというメッセージ。
土と田から始まり、人と自然が共に育てたこの無濾過純米大吟醸(精米歩合 30%、アルコール度数 15%)は、単なる飲み物ではなく”思い出すための道しるべ”のような存在です。
忙しさに追われて忘れていた「本当の豊かさ」や「命のつながり」を、そっと思い出させてくれる。
そんな一本に出会ったら、あなたはどうしますか?
もしかしたら、次の週末には、ゆっくりとこの酒を飲みながら、窓の外にある小さな自然を見つめているかもしれません。
その一杯が、あなた自身の「Beginning(はじまり)」になるかもしれないのです。
商品情報
- 商品名:土と田と The Beginning 2024
- 容量:720mL
- 価格:6,000 円(税込)
- 酒質:無濾過純米大吟醸
- 精米歩合:30%
- アルコール分:15%
- 販売:菊正宗公式通販サイト、菊正宗酒造記念館限定
- 発売:2025 年10月1日(水)
コメント