ニューヨーク・ブルックリン発のクラフト SAKE ブランド Brooklyn Kura(ブルックリンクラ)。
この名前が日本の SAKE シーンで語られる日が、ついにやってきました。
2025年4月14日、八海醸造(新潟)がタッグを組んだブルックリンクラの日本酒3種が、八海醸造グループの株式会社八海山を輸入元として日本国内で正式発売されます。
正規取扱い店や千年こうじや各店、Hakkaisan オンラインサイトで順次販売されます。
一見、逆輸入という”話題性”に目を奪われそうになりますが—このニュースの本当の価値は「伝統」と「革新」が海を越えて出会い、新しい文化の芽を育ててきた物語にあります。
伝統の技術 × アメリカの感性—”異文化発酵”が生んだ、3つの味わい
ブルックリンクラが生まれたのは、2016年のこと。
マンハッタンから橋を渡った先、アートと食が混ざり合う街・ブルックリンで「SAKE をアメリカの日常に」という夢を掲げた2人の創業者、ブライアン・ポーレン氏とブランドン・ドーン氏が、酒造りを始めました。
支えたのは、新潟・八海醸造。2021年には業務資本提携を結び、杜氏を日本から派遣して技術協力を本格化。
アメリカの水、アメリカの米、そして日本の技—これらが融合してできあがったのが、今回日本にやってくる3つの SAKE です。
◆ CATSKILLS(キャッツキル)4,950円(税込)
—水のように静かで、奥行きのある芸術品
ブルックリンクラが仕込みに選んだのは、NYキャッツキル山地の極軟水。
この水は、まるで肌にすっとなじむ高級化粧水のように、やわらかくまろやか。
その水とアメリカ産山田錦 100% で生まれた「キャッツキル」は、バランスのある酸味となめらかな濃厚さを持ち、クリアな飲み口の中にフルーツの香りとほのかなバニラの余韻が漂う一本。
それはまるで、ブルックリンのアートギャラリーに佇む静かな彫刻のようです。
◆ GRAND PRAIRIE(グランドプレーリー)4,950円(税込)
—大地の記憶を感じる、甘やかで凛とした味わい
“グランドプレーリー”とは、アメリカで初めて山田錦が栽培された土地の名。
その名を冠したこの SAKE は、ややドライで軽やかな口当たりに加え、ふわっと広がる甘い香りが特徴です。
夕暮れの草原に吹く風のような、穏やかで力強いコクが、どんな食事にもそっと寄り添ってくれます。
◆ OCCIDENTAL(オクシデンタル)4,950円(税込)
—日本酒とカクテルの”恋”から生まれた、新感覚
この一本だけは、まるで自由なジャズのように型破り。
赤ブドウ果汁とホップを加え、短時間ドライホップを施した「リキュール」。
淡いローズピンクの色合いと柑橘の香り、そしてまろやかな甘み。ワイングラスに注ぎたくなる”洋”の感性は、まさに「オクシデンタル(西洋的)」の名にふさわしい挑戦作です。
※共通化粧箱は別売りとなります。308円(税込)
一人の杜氏が、文化をつなぐ—ブランドン・ドーンという存在
このプロジェクトの中心にいるのが、ブランドン・ドーンというアメリカ人杜氏。
彼はまだ SAKE が一般的ではなかった頃から日本に渡り、八海醸造の蔵で当時の杜氏から直に酒づくりを学び、日本の伝統的で厳正な酒づくり技術や信念を身に着けてきました。
「どうすればアメリカの人々に、この美しさが届くのか?」
その問いを胸に、彼は”造り手”としてだけでなく”橋渡し役”として、今日まで SAKE を醸し続けてきました。
彼の存在は、まるで異なる音楽をつなぐDJのよう。
伝統のビートと革新のリズムを組み合わせ、新しい「SAKE カルチャー」を紡ぎ出しているのです。
グラスの向こうに、世界が見える
この春、日本に届くブルックリンクラの SAKE は、単なる輸入品ではありません。
それは、異なる文化が理解し合い、ともに歩むことで生まれた”未来の日本酒”です。
「日本酒は日本でしか生まれない」
そんな思い込みを、やさしく覆してくれるこの一杯は、これからの SAKE の姿そのもの。
あなたのグラスに注がれるのは、アーカンソー州産の山田錦やカリフォルニア州産のカルローズといったアメリカの米、キャッツキル山地の極軟水、そして日本の知恵が重なりあった物語です。
一口飲むたびに、文化と文化が出会い、溶け合っていく—そんな体験を、ぜひ味わってみてください。
▶ 今すぐ、SAKE の未来を味わう
- 八海醸造|ブルックリンクラ特設ページ(https://www.hakkaisan.co.jp/brooklyn-kura)
- Brooklyn Kura|公式サイト(https://www.brooklynkura.com/)
- Sake Studies Center|SAKE を学ぶ拠点(https://www.sakestudiescenter.com/)
最後に──「世界中に SAKE のある風景」を、わたしたちの手で
このクラフト SAKE たちが、日本の食卓に届くことで、世界はまたひとつ近づくのかもしれません。
それは、大げさではなく”文化が育てる味”であり、”未来を飲む体験”でもあります。
次にあなたが乾杯するとき。
そのグラスの向こうに、ニューヨーク・ブルックリンの蔵の灯りが、そっと灯っているかもしれません。
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