「お酒って、どうやって味が決まるんだろう?」
ある晩、友人と晩酌をしながらふと思いました。
同じ日本酒でも、蔵ごとに味わいはまるで違う。
辛口、甘口、フルーティー、キレのある味…。
でも、どうしてそんな違いが生まれるのでしょう?
まさか—音楽が関係してるなんて、想像できますか?
今回は、富士通と徳島の老舗蔵「三芳菊酒造」がタッグを組んだ、ちょっと不思議で、だけどワクワクするプロジェクト「Join&Make」をご紹介します。
これは、音楽の振動によって日本酒の味が変わるという、まるで科学実験のような世界。
でも、そこには温もりある”人の手”と”参加”が詰まっていました。
音楽で発酵を「味わう」? Join&Make とは
「Join&Make」は、音楽の”振動”を酒蔵で発酵中の酵母に届け、その影響で味わいの違う日本酒をつくるというユニークな試みです。
しかも、このプロジェクトの最大の特徴は、参加者自身が楽曲に投票し、酒づくりに”加わる”ことができる点。
通常、日本酒の味を決めるのは水、米、酵母、そして杜氏(酒造りの職人)の技術です。
そこに”音楽”という新しい要素が加わる—それも、AIが生成する音ではなく、人間が選んだ音楽。
このアプローチが面白いのは、科学的実験でありながら、人間らしい「感性」や「思い」を酵母に届けるということ。
つまり「みんなで選んだ音楽で日本酒ができる」。
そんなロマンが、このプロジェクトには詰まっています。
三芳菊酒造のこだわりと挑戦
徳島県三好市にある三芳菊酒造は、1889年創業の歴史をもつ酒蔵。
しかし、ただの伝統にとどまらず「パンクな酒造り」を掲げ、ポップなイラストが特徴的なラベルや革新的な手法で注目を集めてきました。
そんな三芳菊が「Join&Make」で挑戦するのは、まさに伝統とテクノロジーの融合。
実際に音楽を酒蔵に流すときは、スピーカーではなく振動スピーカーを使用。
音を”聴かせる”のではなく、”感じさせる”のです。
これは「加振醸造」と呼ばれる技術で、もともと三芳菊酒造がオンキヨーとともに取り組んでいたものです。
醪(もろみ)が発酵するタンクに音楽の振動が響き渡ることで、酒米が溶けやすくなり、発酵のスピードが速まります。
加振醸造のタイミングや状況は、富士通のセンシング技術によってモニタリングされています。
この緻密なデータの積み重ねが、ただの面白企画では終わらない”本気の酒づくり”を支えています。
「みんなの音楽」が「みんなの酒」になる感動
プロジェクトでは、参加者が好きな楽曲に投票し、得票数に応じて再生時間の異なるプレイリストを作成。
そのプレイリストを使って醪に振動を加えます。
第1弾では富士通が用意した楽曲でしたが、第2弾では参加者から楽曲を募集し、30曲以上の応募があったそうです。
参加者の投票が直接お酒に影響するという体験。
これは、ただのお土産や限定酒とはまったく違う“みんなでつくる日本酒”ができる感覚なんですよね。
完成した「SAKE WAVE FES」は、同じ原料・同じ条件のタンク2本で醸造され、片方は音楽による加振をし、もう片方は加振せずに造られています。
そのため、音楽の影響を飲み比べで確かめることができるんです。
テクノロジーが生む、あたたかな酒づくりの未来
「Join&Make」は、最先端技術を使いながらも、どこか人間くさい。
音楽という感情の結晶を、醪という発酵中の生命に届ける。
そこから生まれる味は、きっと唯一無二のもの。
私たちはいま“飲む”を超えた、日本酒との新しい関わり方を迎えているのかもしれません。
「お酒って、ただ飲むものじゃない。つくることにも、心がふれる。」
そんな気づきを与えてくれる「Join&Make」。
第1弾の「SAKE WAVE FES 01」はすでに完売し、第2弾の「SAKE WAVE FES 02」は2025年4月8日から販売される予定です。
もし機会があれば、ぜひ音楽の違いによる味わいの変化を体験してみてください。
まとめ:音楽で、あなたの一杯をもっと特別に
・音楽の振動が発酵に影響し、日本酒の味が変わる
・参加者が楽曲投票を通じて酒づくりに参加できる
・富士通の技術と三芳菊の挑戦が融合した、テクノロジーと伝統のプロジェクト
「Join&Make」は、味覚だけでなく、心まで震わせてくれる体験です。
すでに第3弾も準備中とのこと。
今後の展開にも注目していきましょう。
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