AMAZON でお買物

「時を醸す」杜氏・農口尚彦。その一滴に込められた、伝説の技と想い

「お酒って、こんなにも心に沁みるものなんだ」
初めて口にした瞬間、そう思わずにはいられない日本酒があります。
それが、農口尚彦研究所の酒です。

「杜氏の神様」は、なぜ立ち上がったのか?

杜氏(とうじ)という職業をご存じでしょうか?
酒造りの現場で、すべての工程を取り仕切る”酒の監督”のような存在です。

農口尚彦(のぐち・なおひこ)さんは、その世界で「現代の名工」「杜氏の神様」と称される伝説的な人物。
70年以上にわたり酒造りに携わり、数々の賞を受賞してきました。
ですが、そんな農口さんがいったん引退を発表したのは、2008年のこと。
誰もが”これが最後”と思っていた矢先の、まさかの再始動。

農口尚彦さんは、昭和7年(1932年)に現在の石川県・能登町に生まれ、16歳から酒造り一筋に生きてきた伝説の杜氏。
28歳の若さで杜氏になり、能登杜氏四天王の一人と賞されます。
失われかけた山廃仕込み復活の立役者でもあります。

なぜ、再び麹室(こうじむろ)の扉を開いたのか。
その理由は「後進の育成」と「理想の酒造り」
次世代に伝えたい技術と魂が、彼を再び酒造りへと向かわせたのです。
「おいしい酒を造りたい、飲む人に喜んでもらいたい」という想いで、農口さんは酒を造り続けてきました。
その精神と腕に惚れ込んだ蔵元が「農口尚彦の生き様を未来に残したい」と立ち上げたのが現在の農口尚彦研究所です。

「見えないもの」を感じとる酒造り

農口さんの酒造りは、まさに五感の極致

温度計や機械に頼るのではなく、発酵の音を聞き、香りを嗅ぎ、米の触感を感じる。
「微生物と会話をしているようだ」とさえ言われるその手仕事は、今や失われつつある職人芸の極みです。

例えるなら、現代の酒造りが「数式で音楽を奏でる」ものだとすれば、農口さんの酒造りは「耳と心で旋律を紡ぐ」ようなもの。

そんな彼の哲学を体現する酒こそが、「農口尚彦研究所」の酒なのです。
新しい技術は積極的に導入してきましたが、テクノロジーを取り入れるところと、人が手をかけるべきところは明確に線引きするのが農口尚彦の流儀です。
完全手造りの時代から数値を分析し続け、近年は最新技術を用いたデータも取り入れながらおいしいお酒を醸していきますが、人の手が必要なところにはとことん目をかけ、妥協することはありません。

テロワール×職人技。石川・小松の地に根差す味わい

研究所が構えるのは、石川県小松市観音下(かながそ)町。
ここは、霊峰・白山からの清らかな伏流水が流れる地。寒暖差があり、酒造りには理想的な環境です。
その名の由来でもある観音山(かなんぼやま)の山頂付近には観音様がまつられ、その目線の先に研究所があります。
水の化身とされる観音様に見守られて、こんこんと湧き出る霊峰・白山の伏流水を仕込み水に、酒造りの神様とも呼ばれる農口尚彦の酒が生まれます。

この地の「風土」と、農口さんの「技」が重なり合って生まれる日本酒は、まるで時間をかけて熟成された芸術作品のよう。
口に含めば、柔らかな旨みとともに、ふわりと深い香りが立ち上ります。

まさに「飲むことで、土地と対話する」ような感覚。
それが農口尚彦研究所の酒の魅力です。

次世代へ――技と魂を継ぐ人々

そして、農口尚彦研究所は、単なる酒蔵ではありません。
ここは”学び舎”でもあるのです。

蔵には、全国から若き蔵人たちが集まっています。
農口さんから直接学び、酒造りの真髄を受け継ごうとする者たち。
彼らが、次の時代の杜氏となり、農口流を未来へと繋いでいくのです。

まるで、古代の秘伝が巻物ではなく「人を通して」受け継がれるように、農口さんの技もまた、丁寧に受け継がれようとしています。
技術の伝承はもちろんのこと、農口尚彦研究所が重要視しているのは、農口氏の生き様を次世代に伝えること。
愛情を持って醸し、自分を犠牲にしてでもお酒と向き合う。
そうしたうえで飲む人が本当にうまいと思うお酒を造ること。
これこそが、農口尚彦研究所がめざすお酒です。

「一度は味わってほしい」その理由

農口尚彦研究所の日本酒は、決して大量生産ではありません。
丁寧に、少しずつ仕込まれるその味は「数」ではなく「質」で勝負する、まさに一期一会の一滴。

「純米大吟醸 無濾過原酒」

黄桃やパイナップルのトロピカルなニュアンスにドライマンゴーのアロマがあり、凝縮感のある旨味が心地よく、上品な苦味と共に骨格のしっかりしたバランス。
熟成によるわずかなキャラメルのような風味が、果実感や旨味と共に複雑に呼応し、余韻長く楽しめるお酒です。

「観音下 無濾過原酒」

穏やかなアロマで、バナナブレッドやドライいちじくなどのニュアンスを持ちます。
とても優しい口当たりで、それぞれの味わいがよく溶け込んでおり、旨味と共にわずかに黒糖やスパイシーな風味がボリューム感のある余韻と共に残る辛口のお酒です。

おわりに:時を超えて、心に沁みる一杯を

もし、あなたが「本当においしい日本酒を一度は飲んでみたい」と思っているなら、迷わず農口尚彦研究所の酒をおすすめします。

それは単なる飲み物ではなく、技と情熱、土地と歴史、そして人と人の想いをつなぐ、一滴の物語。

人生の節目に、あるいは何気ない夜に。
その一杯は、あなたの心に静かに染みわたり、忘れられない余韻を残してくれるはずです。

なお、農口尚彦研究所には酒蔵併設のテイスティングルーム「杜庵」があり、農口尚彦研究所のお酒に合わせたおつまみとともにお楽しみいただけます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました