「この一杯に、150 年越しの”夢”が込められているとしたら、あなたはどんな想いで飲みますか?」
江戸から令和へ――忘れられた志が、酒に宿る
群馬県高崎市倉渕に、知る人ぞ知る老舗の酒蔵があります。
その名は「牧野酒造」。
創業はなんと元禄三年(1690 年)、300 年以上の歴史を誇る酒蔵です。
このたび、そんな由緒ある酒蔵から、ただの限定酒ではない、物語を抱いた一瓶が誕生しました。
その酒の名は「大盃(おおさかずき)」――そして、そのラベルには、ある歴史的人物の肖像が描かれています。
その人物こそが、幕末の名官僚「小栗上野介(おぐりこうずけのすけ)忠順」。
実は彼こそが、「大盃」という酒名にまつわる重要な人物だったのです。
「大盃」という名に込められた、ひとつの物語
時は幕末。
黒船来航をきっかけに、激動の時代を迎えた日本。
小栗上野介は、その中で日本の未来を本気で案じた数少ない官僚の一人でした。
彼は、日本が欧米列強に飲み込まれないよう、まるで現代のプロジェクトマネージャーのように、次々と国の根幹に関わる事業を推進しました。
横須賀製鉄所の創設に情熱を注ぎ、さまざまな近代化事業に尽力。
彼はまさに「日本近代化の父」と呼ぶにふさわしい人物でした。
そして万延元年(1860 年)、幕府勘定奉行だった小栗上野介が遣米使節として渡米した際、牧野酒造の先祖が随行。
無事に帰国を祝って大きな盃で祝杯をあげたことから、それまで「長盛」と呼ばれていた酒の銘柄は「大盃」へと改名されたのです。
歴史に埋もれた絆が、いま一度結ばれる
時代は流れ、明治、大正、昭和、平成、そして令和へ――。
戦争や自然災害、社会変動を乗り越えて、その間も牧野酒造は「大盃」の名を守り続け、地元に根ざした酒造りを黙々と続けてきました。
県内最古の酒蔵として、関東信越国税局酒類鑑評会純米酒の部では過去五年で三度の最優秀賞を受賞するなど、国内外から高い評価を得ています。
そして今、2027 年 NHK 大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公として描かれる小栗上野介を記念して、牧野酒造株式会社(代表:牧野顕二郎)は彼にちなんだ限定酒を発売することを決定しました。
これは単なる記念品ではなく、彼の志を現代に伝える「生きた媒体」となるべきものです。
「小栗上野介」ラベルの限定酒、誕生
こうして誕生したのが「大盃 小栗上野介 限定ラベル」です。
群馬県産の酵母を使用した、メロンのような瑞々しい香りが特徴の、大盃の真骨頂とも言える逸品です。
そして何よりも大切なのは、その中身でしょう。
味わいは、上品な旨味とほのかな甘みが調和した、まさに”知性と胆力”を感じさせる一献となっています。
この限定酒は、720 ml(1,800 円・税別)と 1800 ml(3,200 円・税別)の2サイズで、4月18日より出荷開始し、大盃取扱酒販店や自社オンラインショップにて販売されます。
一杯の酒が語るもの
「歴史を語るのは、教科書だけじゃない」
この酒は、そんなメッセージを私たちに届けてくれます。
群馬県高崎市倉渕町には、小栗上野介ゆかりの地が多く残されています。
彼が最期を迎えた水沼川原に建てられた碑や、小栗父子と家臣らの墓がある東善寺などの史跡。
東善寺には、小栗上野介が遣米使節として渡米した際にアメリカから持ち帰った一本のネジをはじめ、彼の功績を残す貴重な資料が数多く保管されています。
この酒を片手に、そんな歴史の道をたどってみるのもよいでしょう。
東善寺や幕末の史跡巡りを楽しみながら、倉渕町の美しい自然と歴史的風情を体感する――そんな旅の友としても、この限定酒は格別の味わいを提供してくれるはずです。
最後に:私たちが飲み継ぐ、未来への盃
私たちが何気なく口にする一杯の酒。
けれどその裏に、誰かの想いが込められていたとしたら――その味は、少し違って感じられるかもしれません。
酒は単なる嗜好品ではなく、時に人と人をつなぎ、時代と時代をつなぐ、文化の担い手でもあるのです。
「大盃」は、小栗上野介のように「今を生き、未来を創る」すべての人に贈られた酒。
それは過去への敬意であると同時に、未来への祝杯でもあります。
彼が夢見た「世界に誇れる日本」は、形を変えながらも、私たちの手の中にあるのではないでしょうか。
あなたもぜひ、この特別な一杯で、150 年越しの乾杯をしてみませんか?
静かに盃を傾けながら、あなた自身の「大盃」――大きな志を胸に抱いて。
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