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【宇宙×日本酒】地球を飛び出した伝統の一滴──菊正宗と IDDK が描く”未来の酒造り”

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星を見上げながら、こんなことを考えたことはありませんか?

「宇宙に行ったお米で、日本酒をつくったら、どんな味がするんだろう?」

子どものころ、夜空を見上げながら想像をふくらませた方もいるかもしれません。
でも、そんな”夢物語”が、いま本当に動き始めているとしたら…?

それを現実にしようとしているのが、酒造り 360 年の歴史を持つ【菊正宗酒造株式会社】と、宇宙バイオ実験プラットフォームを開発するベンチャー【株式会社 IDDK】です。

2025 年4月30日、両者は「宇宙環境を利用した日本酒づくり」に関する基本合意書(MoU)を締結しました。
この記事では、そのプロジェクトの背景と可能性、そして私たちの未来の食卓に訪れるかもしれない”宇宙の味”について、やさしくご紹介します。

歴史ある酒蔵と、宇宙を舞台にするスタートアップが手を組んだ理由

一見、まったく異なるフィールドにいるように見える両者。
しかし、そこには「伝統と革新」という共通の価値観があります。

兵庫・神戸に本社を構え、1659 年(万治2年)創業の菊正宗酒造は、言わずと知れた”生酛造り(きもとづくり)”の名門。
職人たちが時間と手間を惜しまず育てる酒には、土地の気候、空気、そして”想い”が詰まっています。

一方、株式会社 IDDK は、宇宙環境下でのバイオ実験プラットフォームを提供するスタートアップ企業。
光学レンズが不要な半導体センサーベース顕微観察装置の研究・開発を行い、宇宙という極限環境において、微生物の変化や発酵のプロセスを観察する最先端の技術を持っています。

そんな両者が目指すのは──「宇宙環境がもたらす発酵の変化を、日本酒造りに活かすこと」。

なぜ宇宙? 微重力がもたらす”発酵の未知数”

宇宙では地球と違い、重力がほとんど存在しません。
これを「微小重力(微重力)」と呼びます。
この特殊な環境では、微生物の動きや酵母の働きが地上とは違った形で進むことが知られています。

たとえば、ある菌は宇宙に行くことで抗生物質への耐性が高くなったり、ある野菜の種は宇宙から戻ってくると味や形に変化が現れたり。
発酵の世界でも同じことが起こるのではないか──そんな好奇心が、今回のプロジェクトの出発点です。

つまり「宇宙に行った酵母や麹菌が、新しい味わいの日本酒を生むかもしれない」というわけです。
科学と伝統が出会い、予測不能の化学反応が始まろうとしているのです。

未来の乾杯は”宇宙仕込み”の一杯かもしれない

今回のプロジェクトは、まずは実験段階。
IDDK が 2026 年から提供予定の宇宙バイオ実験プラットフォームの商業サービスを活用して、酵母や麹菌などの微生物の宇宙輸送・保管・培養、宇宙環境における発酵挙動の解析を行います。
将来的には「宇宙由来の日本酒」の開発と社会実装を見据えた取り組みを段階的に進めていく計画です。

この取り組みが実を結べば──数年後には、宇宙の影響を受けた、今までにない日本酒が私たちの食卓に並ぶ日が来るかもしれません。

食の未来は、宇宙にまで広がっているのです。

「伝統は守るものではなく、進化させるもの」

このプロジェクトの素晴らしさは「日本酒」という伝統文化を守るために、あえて宇宙という未知のフィールドに挑戦していることです。

菊正宗酒造総合研究所の高橋俊成所長は「菊正宗の研究所では『酒創り』というコンセプトのもと、伝統的な『酒造り』の技術を活かし、これまでにないものづくりに挑戦しています。宇宙での醸造というのはまさに『酒創り』」と語っています。

伝統は、単なる”古さ”ではありません。
それは、時代とともに呼吸し、生き続ける”知恵”です。
そしてその知恵を未来へつなげていくことこそが、真の継承なのかもしれません。

最後に──宇宙が教えてくれる「地球の味」

宇宙に行って変わるものもあれば、変わらないものもあります。

IDDK の池田わたる最高科学責任者は「360年の歴史を持つ菊正宗酒造様との協業を通じて、宇宙という極限環境が日本酒の発酵や熟成にどのような影響をもたらすのかを科学的に解明し、新たな価値創出ができたら」と期待を込めます。

菊正宗の酒づくりに流れる「人と自然への敬意」は、宇宙に行ってもきっと変わらないはず。
むしろ、遠く離れた場所だからこそ、私たちは”地球の味”のありがたさに気づくのかもしれません。

次にあなたが日本酒を口にするとき、ちょっとだけ夜空を見上げてみてください。

そこには、次世代の「乾杯」が、もう始まっているかもしれません。

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