「あぁ、日本酒って、こんなにも美しい味なんだ」
そんな一言が、世界の審査員たちの心から漏れたかもしれません。
誰もが見落としがちな「山奥の酒」が、世界を驚かせた日
群馬県・長野原町。
観光地・草津温泉からほど近いこの地に、ひっそりと佇む小さな酒蔵があります。
名前は浅間酒造。
一見、ごく普通の地方の酒蔵。
けれど今、世界中の酒関係者がこの名を口にしています。
その理由は—「浅間山 IBUKI」という一本の日本酒が、世界最大級の酒類コンペティション「IWC（インターナショナル・ワイン・チャレンジ）2025」にて、GOLD メダルと純米酒部門のトロフィー（最高賞）を受賞し、さらに同蔵の「プレミアム大吟醸 秘幻」も GOLD メダルと群馬・大吟醸トロフィーを獲得したからです。
日本の地方に根差した酒が、世界の”頂点”に立ったのです。
「IBUKI」が持つ、本当の強さとは？
IWC は、世界的に権威のある酒類の品評会で、毎年約40ヵ国から1万点以上の出品があります。
その中で、浅間酒造は「浅間山 IBUKI」と「プレミアム大吟醸 秘幻」という2銘柄で、それぞれの部門でトップの評価を勝ち取ったのです。
しかも驚くのは、それが「派手な味」でも「マーケティングに成功した酒」でもなかったこと。
「IBUKI」は、浅間山の伏流水と群馬県産の酒米を使い、すべて手作業で丁寧に造られた純米酒。
どこまでも地味で、けれど誠実な酒造り。そこに“一貫した美しさ”と”確かな職人の技”が宿っていたのです。
これはまるで、派手な衣装をまとうことなく、静かに舞台に立ち、その一曲で観客全員を涙させる歌手のよう。
「手を抜かない」とは、ここまでやること
受賞の背後には、浅間酒造の地道な挑戦があります。
冬場の酒造りにおいて、少人数で醸造から瓶詰めまでを一貫して担うスタイル。
一滴も無駄にせず、一本一本の瓶に「想い」と「誇り」を込める。
まるで、家族の食卓に並ぶ味噌汁を、大切に丁寧に作るように。
しかも今回受賞したのは「IBUKI」だけではありません。
同酒造の他の3銘柄—「プレミアム大吟醸 秘幻」が GOLD メダル&群馬・大吟醸トロフィー「プレミアム純米大吟醸 秘幻」が GOLD メダル「純米大吟醸 あさまやま」が SILVER メダルを獲得しています。
つまり、これは偶然のヒットではなく、蔵全体の技術力と品質へのこだわりが評価されたということ。
地方の酒蔵が世界に誇れる”ものづくり”とは？
日本各地に点在する中小の酒蔵。
人口減少や嗜好の多様化の中で、多くが存続の危機に直面しています。
それでも「美味しさとは何か」「本物とは何か」に真摯に向き合い続けている蔵が、確かにある。
浅間酒造の挑戦は、ただの受賞ではありません。
「小さくても、本物を届ければ世界に届く」という希望の証でもあるのです。
最後に──この一杯が、誰かの誇りになる
群馬・浅間山のふもとで、雪の舞う中を歩きながら飲む熱燗。
あるいは、都会の夜、自分の時間に寄り添う冷やの一杯。
そんな情景が、世界のどこかでも広がっていると思うと、ちょっと胸が熱くなります。
「浅間山 IBUKI」は、日本の職人魂が詰まった一滴。
それは、まるで風のように静かで、でも深く息づく”いのち”のよう。
次に日本酒を選ぶとき「IBUKI」という名を、ぜひ思い出してみてください。
小さな蔵の静かな奇跡が、きっとあなたの心にも届くはずです。
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