それは、まるで時間を瓶に詰めたような一本でした。
何気ない日常のなかで、ふと立ち止まる瞬間があります。
記念日、大切な人の笑顔、自分へのご褒美。
そんなとき、あなたは何を手にしますか?
チョコレートでもなく、ワインでもない。
今ここにあるのは”語りかけてくるような酒”──
福井県永平寺町が合併20周年を迎えるにあたり、たった50本だけ仕込んだ幻の一本です。
名前は、
「永平寺白龍 純米大吟醸 袋吊り 雫酒 -氷温貯蔵18カ月-」
この記事では、この日本酒が持つ”物語”と”味わう”を超えた感動の理由を、やさしく、でも深くお伝えします。
静寂が宿る町、永平寺町
永平寺町と聞くと、あの静けさを思い出す方もいるでしょう。
曹洞宗大本山「永平寺」のあるこの町は、まるで”時間が深呼吸している”かのような場所です。
町を流れる空気は澄み、水は透き通り、足を運んだ人々の心を静かに整えてくれます。
そんな町が、2026 年に合併20周年を迎えます。
節目の年に「言葉では伝えきれない想いを形にしたい」──そうして生まれたのが、今回の酒です。
「袋吊り」──重力だけが知っている酒の美しさ
この酒には、「雫酒(しずくざけ)」という不思議な響きの名がつけられています。
でもそれは、ただの名前ではありません。
通常の酒は、機械でぎゅっと搾って造られます。
しかしこの酒は、違います。
酒袋に醪(もろみ)をそっと入れ、それを吊るす。
すると、時間の流れと重力の力だけで、ぽとり、ぽとりと酒が滴り落ちるのです。
想像してみてください。
静かな蔵のなかで、ただ雫が落ちる音だけが響く。
その一滴一滴に「自然と人の対話」が込められているのです。
まるで、木から滴る朝露のように。
あるいは、禅僧が静かにお茶をたてるように。
その所作に、雑味も急ぎもありません。
18ヶ月の氷の眠り──酒が夢を見る時間
この雫酒は、絞ったあとすぐには出荷されません。
なんと氷点下 -5℃ で18ヶ月も熟成させるのです。
氷温は、凍らないギリギリの温度。
冷たすぎず、けれど確実に時間が止まっているような世界。
この環境でゆっくり眠らせることで、酒は自らの輪郭を磨き、奥行きを深めていきます。
もし、音楽で例えるならば、
すべての音が整ったあと、最後に訪れる”余韻”の部分。
この酒は、その余韻だけでできているような繊細さを持っています。
すっと口に含めば、静かにほどけ、まるで雪解け水のように溶けていく。
舌で味わうというより、心で感じる酒です。
酒蔵と米と、町の記憶
この酒に使われているのは、最上の酒米「山田錦」を 40% まで磨き上げたもの。
そして、醪の中でも最も味と香りが調和した「中汲み」部分のみを使用しています。
これを 1806 年(文化3年)創業の𠮷田酒造が造り上げました。
𠮷田酒造といえば、「白龍」で知られる名門蔵。
ただ技術があるというだけではありません。
この酒には、町と蔵が一緒に歩んできた20年の記憶が染み込んでいるのです。
「手間ひまを惜しまない」という言葉は簡単に使えます。
でも、それを50本だけのために本当にやり切るというのは、まさに愛と覚悟の証。
なぜ、ふるさと納税で?
この酒は、ふるさと納税でしか手に入りません。
しかも、限定50本。
寄附額は3万円。
けれど、これは「高級品」というより”町とつながる体験”の対価だと思うのです。
お金で買えるのは”モノ”だけ。
でもこの一本には、
- 永平寺の空気
- 酒蔵の技
- 町の記念の時間
すべてが、静かに、でも確かに詰まっています。
“飲む”のではなく”心にとどめる”一本
この酒を手にしたとき、あなたは「飲む」ことを迷うかもしれません。
けれど、思い切って一口含んだ瞬間、
静かに心に広がっていくものがあるはずです。
それは香りではなく、「永平寺町というひとつの風景」。
あるいは、「手をかけて作られたものの重み」。
この酒は、喉を通ったあとに“静けさ”を残す酒です。
まるで、一冊の詩集を読み終えたあとのように。
あなたの特別な日に、この一本を。
一年に一度しかない日。
人生に一度きりの贈り物。
そういった瞬間に、選ぶべき一本があるとしたら──
この酒は、間違いなくその候補になるでしょう。
たった50本しか存在しない理由は、それがただの酒ではなく、
“物語を宿した一本”だから。
永平寺の風。
白龍の流れ。
そして、あなたの記憶。
それらが交わるその日を、ぜひ体験してみてください。
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