「美術館ではなく、グラスの中で出会う日本刀」──”飲む美術工芸”が語る、日本のものづくり魂

あなたは、グラスの中に宿る”魂”を感じたことがありますか？

たとえば、疲れた一日の終わりにゆっくりと注ぐ一杯の酒。
その透明な液体が、まるで静かな水面のように心を鎮めてくれる。
けれど、もしその一杯に、千年を超える日本の技と精神が宿っていたとしたら──。

そんな問いかけに、静かに、そして力強く応えるように誕生したのが、日本刀匠・宮入法廣（みやいりのりひろ）氏が監修し、2025 年秋に長野県東御市の日本酒専門店「坐 kura（くら）」から発売される日本酒「理 KOTOWARI」です。

飲む芸術作品「理 KOTOWARI」とは？

「理 KOTOWARI」は、単なる”高級酒”ではありません。
それは“飲む美術工芸”と呼ぶにふさわしい、魂の宿った酒です。

監修したのは、江戸時代からつづく日本刀の名門・宮入家に生まれ、史上最年少の39歳で刀匠の最高位「無鑑査刀匠」に認定された宮入法廣氏。
彼が手がける刀は、見る者の心を震わせる静謐な緊張感と、極限まで研ぎ澄まされた美しさを併せ持ちます。

そんな宮入氏が「日本刀と同じ精神でつくる酒を」と志して生まれたのが「理」。
その名の通り「理（ことわり）＝物事の本質」を追求した酒は、まさに一振りの刀のような存在感を放っています。

一見、畑違いにも思えるこのコラボレーション。
けれど、そこには深く、日本的な共通点がありました。

日本刀づくりとは、自然との対話です。
火、水、鉄、炭。
すべての素材に耳を傾け、わずかな変化も見逃さず”理”に従って形にしていく。
このプロセスは、長野県東御市八重原産の最上等級の酒米を使った日本酒の醸造にも通じています。

米、水、麹、酵母──それぞれの”声”を聴き、余計なものを削ぎ落とし、ただ本質だけを残す。
そこに共鳴した宮入氏は、大信州酒造とともに、日本酒という形で”ものづくりの本質”を表現したのです。

「刀を打つのと同じ精神で、日本酒という形に”理”を込めた」──宮入法廣

この「理 KOTOWARI」は、わずか 300 本のみの限定生産。
予約は 2025 年8月1日からスタートし、一瓶 22,000 円（税込）という価格も、その希少性と品質の高さを物語っています。

しかも、ただの酒瓶ではありません。
ボトルは刀の鞘を思わせる重厚な佇まいで、木箱も特注、まるで美術品のような扱いです。

これは「酒を売る」のではなく“日本の精神文化”を届けるプロジェクトなのです。

“飲むアート”という言葉がこれほどしっくりくる酒が、他にあるでしょうか。

美術館で日本刀を眺めるのではなく、その精神を味覚で体験する。
「理 KOTOWARI」は、そんな前代未聞の体験を提供します。

そして何より、この酒には「日本のものづくりは、まだまだ進化できる」という強いメッセージが込められているのです。

この酒は、ただの嗜好品ではありません。
それは、時代を超えて受け継がれてきた技と想いを、グラスの中に閉じ込めた”現代の文化財”ともいえる存在です。

もし、あなたがこの一本と出会えたなら、ぜひ静かな夜にひとり、グラスを傾けてみてください。
そして、その一滴一滴に込められた”理”に、そっと心を澄ませてみてください。