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伝統に挑む酒蔵・熊谷酒造――日本酒の未来を切り拓く革新の旅

静かな朝、蔵の扉を開けると、ひんやりとした空気の中に日本酒の芳醇な香りが満ちています。
職人たちの手によって代々受け継がれてきた技術と、時代の変化に対応しようとする新たな試みが交差するこの場所で、熊屋酒造は今、新たな挑戦の真っただ中にあります。
江戸時代から続く酒蔵が、2025年に向けてどのような革新を進めているのか――。
その情熱とこだわりに迫ります。

250年以上の歴史を持つ熊屋酒造の精神

熊屋酒造は岡山県倉敷市の地に根ざし、250年以上もの間、日本酒造りを続けてきました。
長い歴史の中で、何度も時代の波に揉まれながらも、彼らは決してその本質を見失いませんでした。
酒造りにおいて最も重要なのは「米・水・技」。
地元の農家と協力して育てた酒米「雄町」「晴れの国岡山」の気候風土に育まれた水、そして蔵人たちが磨き続けてきた技術が、一杯の酒に込められています。

中でも、熊屋酒造が誇るのは伝統製法へのこだわりです。
自然の力を最大限に生かす製法は、手間がかかるために近年では減少傾向にあります。
しかし、熊屋酒造ではこれらをあえて継承し、昔ながらの深みのある味わいを守り続けています。
そこには「飲み手にずっと飲みたいと言って頂けるお酒」「最初に口の中で広がるお米の旨みと潮が引くようなキレの良さをもったお酒」を造ることを目指す蔵人たちの信念があります。

熊屋酒造の代表銘柄

熊屋酒造の代表銘柄は「庵(あん)」です。

「庵 備前雄町 純米大吟醸 磨き三割八分」は、香りは穏やかながら、パイナップルやバナナなど南国フルーツを思わせる華やかな香りが特徴です。
透明感が高く、果実のジューシーな味わいをクリアに感じることができます。
骨格があり奥行のある旨みも感じられる銘酒です。
冷やや常温でのお飲みが推奨されています。

また「庵 備前雄町 純米大吟醸 原酒」は、熟した洋ナシや白桃、パッションフルーツのような華やかでフルーティな香りが魅力です。
大吟醸らしい華やかな香りやフルーティさと共に、雄町ならではの奥深く重厚なボディ感を楽しめる日本酒です。
こちらも冷やや常温での飲用が推奨されています。

岡山の風土と雄町米

雄町は晩稲(おくて)で田植えは6月中旬、収穫は11月上旬と遅く、また背丈が高いため、稲が倒れやすく、病害虫にも弱いため、栽培が困難といわれています。
しかし、岡山県は「晴れの国 岡山」と言われるほど日照時間が年間二千時間と長く、降水量は年間千百ミリ程度でその少なさは日本有数のテロワールです。
だからこそそのような雄町の栽培にも適した気候風土が整っていると言えます。

「庵」純米大吟醸及び、純米吟醸は旧赤磐地区に隣接した土地に圃場を構える契約農家の優良米を使用しており、熊屋酒造は貴重な備前雄町を契約農家から安定的に確保できる数少ない酒蔵です。

歴史と観光スポット

蔵元を営む庵谷(いほりや)家はもともと紀州熊野の出身で、紀州熊野大社の分社の神殿を建設する際の人足として現在の岡山県倉敷市に移住しました。
移住先は蔵裏手の熊野神社詣でへの街道、また香川の金毘羅へ続く金毘羅街道として非常に栄えていました。

この地で、1716年、三代目当主の庵谷伊七(いしち)が、すぐそばにある熊野神社から「熊」の一文字をもらい「熊屋本家酒造」として酒造業を創業し、酒造りの歴史が始まりました。

熊屋酒造の北側には岡山県指定史跡の日本第一熊野神社があり、広い境内には森林を背景に六棟の社殿などが立ち並び、国及び県指定の重要文化財に指定されています。
他にも県指定文化財の三重の塔、また南側には修験道総本山五流尊流龍院があり、五流尊龍院は児島高徳の誕生の地でもあります。

伝統と革新が交わる未来の日本酒とは

熊屋酒造の挑戦は、単なる技術革新ではなく、文化の継承と発展そのものです。
彼らの日本酒には、250年以上の歴史と、新しい時代を切り拓こうとする情熱が詰まっています。

「お客様の直の声を聞き、その言葉を酒造りに」

そう語るのは、熊屋酒造の杜氏です。彼らの手によって醸される酒は、今もなお進化を続けています。
未来の日本酒がどのような形をとるのか、それは彼らの挑戦の先にあるのでしょう。

この酒蔵が次にどんな一歩を踏み出すのか、これからも目が離せません。
伝統と革新が織りなす熊屋酒造の物語は、日本酒の未来そのものなのですから。

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