あなたの一杯が、未来の鮭を救うかもしれない。
ある日の晩、いつものように冷酒を片手に食卓についたとき、ふと思いました。
「この日本酒って、どうやって作られてるんだろう?」
お米からできていることは知っていても、その”背景”までは考えたことがない。
でももし、その一杯が「川の命」や「未来の自然環境」とつながっているとしたら…?
今日は、そんな”見えないつながり”を可視化し、しかも日本初の偉業を成し遂げた1本の日本酒のお話です。
世界が注目!「環(めぐる)」が取得した”日本初”の認証とは?
2025 年8月26日、ある大きなニュースが静かに、でも確かに業界を揺るがしました。
神戸新聞社のサスティナブル日本酒『環(めぐる)』の酒米栽培が「Salmon-Safe(サーモンセーフ)」認証を日本で初めて取得したのです。
Salmon-Safe って何?
Salmon-Safe とは、1997 年に米国の河川保護団体であるパシフィック・リバーズによって設立された「サケが産卵し繁栄できる川を守る農業・製造が行われているか」を評価する非営利団体。
今や北米を中心に拡大中で、その精神はシンプルです。
「上流の農業が変われば、下流の生態系も守られる」
つまり、お米の育て方や水の使い方ひとつが、川の環境やサケの命に直結する。
そんな考え方のもと、厳しい基準をクリアした農業だけが「サーモンセーフ」認証を受けることができるのです。
「酒づくり」で川を守る?――一見ミスマッチな組み合わせの中にある、本質
私たちが普段飲んでいるお酒。
その背後には、想像以上に自然環境との深い関係があります。
たとえば、田んぼとサケ。
田んぼから流れ出る水に農薬が含まれていれば、下流の川を汚します。
川が汚れれば、水生昆虫が減り、それを食べる魚たちの命も危うくなる。
そして、その魚たちのひとつが”サケ”なのです。
「環(めぐる)」を手がけた神戸新聞社と、その認証取得をサポートした株式会社 Super Normal、そして酒米を栽培する豊倉町営農組合と株式会社 ten は、この”川と酒の見えないつながり”を大切に考えました。
認証を得るためには、水質調査はもちろん、農薬使用の削減や排水処理の工夫など、酒米栽培のすべての工程が見直されました。
簡単にできることではありません。
でも彼らは「おいしい酒をつくること」と「川を守ること」は共存できるはずだと信じ、行動したのです。
「おいしさ」と「やさしさ」を両立する選択
ここで少し想像してみてください。
あなたが手にした一杯の日本酒が、ただおいしいだけでなく、未来のサケが遡上できる清らかな川のために存在しているとしたら…?
「環(めぐる)」という名には”めぐる” “つながる”という意味が込められています。
酪農家の未利用資源だったバイオガス消化液を、兵庫県特産の酒米「山田錦」の有機肥料として活用し、化学肥料を減らした脱炭素農法で収穫された酒米から、兵庫県内7つの酒蔵で個性豊かな純米吟醸酒が生まれます。
廃棄物が、美味しいお酒になる循環を実現した日本酒です。
最後に――飲むことは、選ぶこと
私たち消費者には「何を買うか」だけでなく「何を応援するか」を選ぶ力があります。
そしてその力は、思った以上に大きいのです。
環境のために何かしたいけれど、難しいことはよく分からない――。
そんなときは、まずは一杯の日本酒から始めてみませんか?
「環(めぐる)」のような選択は、やさしい未来へとつながっていきます。
飲むことが、未来への投資になる。
そんな時代が、もうすぐそこまで来ています。
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