ふと、静かな夜に一杯の酒を口にする。
その瞬間、時間がゆるやかに流れ出し、自分の心の奥にそっと灯がともるような感覚に包まれたことはありませんか?
それが、心に届く酒の力です。
2025 年。
世界で最も権威あるワイン品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」で、日本のある日本酒ブランドが大きな快挙を成し遂げました。
それが、SAKE HUNDRED(サケ・ハンドレッド)。
彼らが手がける2つの銘柄──『百光 別誂(びゃっこう べつあつらえ)』と『思凛(しりん)』が、金メダルという輝かしい評価を得たのです。
けれど、この物語は「メダルを取った」というニュースだけでは終わりません。
むしろ本当の価値は”なぜ世界がこの酒に心を奪われたのか”にあります。
雪のように研ぎ澄まされた酒『百光 別誂』
『百光 別誂』を語るとき、よく使われるのが「精米歩合 18%」という言葉。
数字だけを見ると、何のことかわかりづらいかもしれません。
ですが、これは驚異的な数字です。
お米の表面を削りに削り、中心の「心白」と呼ばれる透明な芯の部分だけを使って仕込む。
8割以上を捨てて、たった2割に全てを賭ける――これは、職人の技術と信念、そして”完璧”を追い求める執念の結晶です。
口に含むと、透明な泉のように静かで清らか。
甘さや香りが押し寄せるのではなく、音のない雪が舞い降りるように、そっと染み込んできます。
まるで、感情すら研ぎ澄まされていくような体験です。
実は『百光 別誂』は、今回で3年連続のゴールドメダル受賞。
発売された 2021 年から毎年入賞している実力派です。
IWC の審査員からは「パイナップルや白桃、ネクタリン、キンカンの華やかな香りが立ちのぼる。アプリコットやアーモンド、リンゴの風味が豊かに広がり、ほどよいとろみと奥行きを感じさせる」と高く評価されています。
新しさと深みが共鳴する『思凛』
一方『思凛』はまるで「語りかけてくるような酒」です。
名前にある「思」と「凛」。
これは”静かに思いを馳せながらも、芯の強さを秘めている”という、日本人ならではの美意識を表しています。
飲み口は柔らかく、奥から静かに旨味が広がる。
華やかではないけれど、深く、静かで、凛としている。
まるで、夜明け前の静寂を思わせるような余韻が残ります。
『思凛』は精米歩合 18% で醸したクリアで繊細な味わいの日本酒を、北海道産のミズナラ樽で短期貯蔵したもの。
ほんのりと、それでいて確かに感じられるオーク香を溶け込ませた、日本酒の新たな扉を開く一本です。
審査員からは「甘やかで乳酸の香りに、炊きたてのポップコーンやもち米のような優しい芳香が重なる。口当たりは澄んでいて熟した印象をもち、食事に寄り添う爽やかな余韻が広がる」と評されています。
世界が「SAKE HUNDRED」に心を動かされた理由
ここで疑問に思うかもしれません。
「なぜ、これほどまでに世界が注目したのか?」と。
その答えは”味”だけではありません。
SAKE HUNDRED は「世界中の人々の『心を満たし、人生を彩る』」ことをパーパスに掲げています。
ただのアルコール飲料ではなく「人生の節目や感情を表現するメディア」としての日本酒を提案しているのです。
ボトルはまるで高級香水のよう。
手に取った瞬間から、五感すべてを通して特別な体験が始まる。
そしてそれは、贈り物としても、人生の記憶としても、深く心に残るものになります。
今回の「IWC 2025」では、1,476 銘柄の日本酒がエントリーし、そのうちの上位 10% にあたる 153 点のみがゴールドメダルに輝きました。
その中で SAKE HUNDRED は『百光 別誂』『思凛』のゴールドメダルに加え『弐光』『深星』『天彩』がシルバーメダル『白奏』『現外』がブロンズメダルをそれぞれ獲得するという素晴らしい成績を収めています。
最後に──「日本酒って、こんなに美しいものだったんだ」
日本酒というと「難しい」「敷居が高い」と感じる人も多いでしょう。
でも、たとえば初めて聞いたピアノ曲に心を打たれるように、言葉がなくても「これはすごい」と感じられる瞬間が、酒にもあるのです。
『百光 別誂』も『思凛』も、そのひとくちがまるで短編小説のように、静かに、でも確かに心に残る味わいです。
もし、あなたが「ちょっとだけ、いいお酒を楽しんでみたい」と思ったそのとき。
この2本は、きっと”人生の一杯”になるはずです。
あなたの時間に、ひとすじの光が差し込むような、日本酒との出会いを。
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