「お酒は新しいほうが美味しい」
そんな思い込み、ありませんか?
たしかに、フレッシュな香りや瑞々しさを楽しむのは日本酒の醍醐味のひとつです。
でももし、じっくりと時を重ね、まるでワインのように熟成された一本があったら──?
それも、四半世紀以上もの間、静かに眠り続けていた日本酒だとしたら?
今回は、そんな”時の魔法”をまとった日本酒「天寿 純米吟醸 1997」が、世界的に名高い日本酒コンクール「Kura Master 2025」で複数の栄誉ある賞を受賞したというニュースをご紹介します。
28年の時を超えた一滴「天寿 純米吟醸 1997」
このお酒は、秋田県由利本荘市の老舗酒蔵である天寿酒造株式会社で醸造され、株式会社熟と燗がオリジナル商品として手がけているものです。
そして今回、この熟成酒「天寿 純米吟醸 1997」は、フランスのコンクール「Kura Master 2025」において「審査員賞」、さらに「古酒部門 プラチナ賞」を受賞する快挙を成し遂げました。
1997 年に仕込まれ、当時は特別に製造・貯蔵されたこの一本。
なんと28年間も静かに熟成されてきたのです。
その味わいは、質の高い白ワインのように室温に近い温度で魅力があふれ、シャープな味わいながら甘味、旨味、酸味、渋味がバランスよく調和し、余韻が続くのが特徴です。
天寿酒造は「地元の米・水・技術」にこだわり続け、丁寧な酒造りを行ってきました。
今回の受賞は、その天寿の哲学と熟成技術が世界で評価された証でもあります。
「熟成酒」という未知の魅力
日本酒は一般的に、製造から1年以内に飲まれることが多く、熟成酒に対するイメージはまだまだ一般的ではないのが現状です。
しかし、この「天寿 純米吟醸 1997」のように、長期熟成することで、まろやかさ・コク・香りの複雑さが増し、まるでブランデーや高級ワインのような深みを持つ日本酒も存在するのです。
天寿酒造の数あるビンテージの中でも 1997 年は特別な味わいに仕上がった年とされ、飲み進めるうちに温度が変わっていくことで味わいにも変化が出るため、幅広いお食事と合わせることができます。
「Kura Master」が意味するもの
「Kura Master」は、2017 年からフランス・パリで開催されている日本酒のコンクール。
審査員は主にフランス人ソムリエやシェフなど、現地のプロフェッショナルたちです。
その審査基準は、食とのマリアージュ、香味のバランス、そして全体の完成度など多岐にわたり、世界市場における日本酒の新たな価値を創出する場として注目されています。
そんな舞台で日本酒が認められるということは、日本の味が世界基準になっているという証。
その中でも長期熟成酒が古酒部門で受賞し、さらに各部門で最も評価の高かった出品酒に与えられる名誉ある「審査員賞」まで受賞したのは、「新しい日本酒の可能性」が広がっていることを象徴しています。
あなたも「時を飲む」という体験を
もし、「日本酒はどれも同じような味」と思っているなら、それはきっと、まだ”時を飲む”体験をしていないからでしょう。
「天寿 純米吟醸 1997」は、まさにそんな固定観念を覆してくれる一本。
28年という時間をまとったお酒は、まるで記憶のように、ゆっくりと心に染み渡っていきます。
たとえば、父の日の贈り物に。
あるいは、人生の節目に、自分へのご褒美として。
時間を味わうお酒は、きっとその瞬間を、かけがえのない思い出に変えてくれるはずです。
最後に
日本酒の世界は、思っているよりもずっと広く、奥深いものです。
そして「天寿 純米吟醸 1997」のような一本に出会うと、それがただの飲み物ではなく”物語”だということに気づかされます。
今回の受賞は、日本酒の熟成という文化的価値が、国境を越えて評価された象徴的な出来事といえるでしょう。
もし、この記事を通じて少しでも日本酒に興味が湧いたなら。
それは、あなたの中に”時間を味わう感性”が目を覚ました証かもしれません。
ぜひ、そんな一滴との出会いを楽しんでみてくださいね。
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