「旅って、どこか懐かしい場所に帰るような感覚がしませんか?」
そんな問いかけから始めたくなるような、日本には数多くの「時が止まったような町並み」が残っています。
なかでも、長野県の奈良井宿(ならいじゅく)は、その代表格。
江戸時代、旅人の疲れを癒やしたこの宿場町は、今もその姿を色濃く残し、訪れる人々の心を優しく包み込んでくれます。
そんな奈良井宿の地から、またひとつ、美しい”旅の記憶”を彩る新たな日本酒が誕生しました。
「narai passage(ナライ パッセージ)」と「narai terra(ナライ テラ)」。
まるで街道を歩くように過去と現在を行き来し、土地の鼓動を感じながら味わう2本の酒。
その背景には「suginomori brewery(スギノモリ・ブルワリー)」という、伝統と革新の架け橋となる酒蔵の挑戦があります。
「suginomori brewery」とは? 400年の歴史に、今吹き込まれる新しい息吹
suginomori breweryは、奈良井宿にある1793年創業の「杉の森酒造」をルーツに持つ酒蔵です。
2021年に再始動を遂げ、地域の文化や景観を守りながらも、現代の感性で「本当においしい酒とは何か」を問い直しています。
彼らの日本酒は、単なる”飲み物”ではありません。
それは、土地の記憶を呼び起こし、人の心に語りかけるストーリーテラーのような存在。
最新作である「narai passage」と「narai terra」も、まさにその理念の結晶なのです。
「narai passage」: 過去と現在を結ぶ”風の回廊”
名前の”passage”には「通路」「通過」「時の移ろい」という意味が込められています。
この酒は、奈良井宿を通る中山道から着想を得て、naraiブランドの世界へ足を踏み入れるきっかけとして誕生しました。
標高1,000mを超える木曽山脈の山水と、アルプスの雪解け水で育った安曇野産米から生まれる「信州の恵み」を低アルコールで気軽に味わえる一本です。
いちごミルクを思わせる甘い香りに、フレッシュさをまとった口当たりはシルクのように滑らか。
透明感のある果実味と落ち着いた米の甘みがやさしく調和し、アルコール度数は13度と日本酒にしては軽めで、季節や食卓を選ばず寄り添う親しみのある味わいです。
「初めて飲んだのに、なぜか懐かしい」
そんな言葉がぴったりの、時空を超えて寄り添ってくれる一本です。
軽やかな甘みを帯びているため、和食はもちろん、蟹あんかけ豆腐、湯葉刺し、甘海老の塩麹和えなどの穏やかな味わいの料理と好相性。
また、きのこと栗のリゾットやブッラータチーズと苺のサラダなど、コクや香りを楽しむ洋食にも寄り添います。
「narai terra」: 土地の息吹が響く、凛とした味わい
“terra”はラテン語で「大地」「土地」を意味します。
こちらは、suginomori brewery初のアッサンブラージュ(複数のタンクの酒を重ね合わせる手法)の商品です。
小さいタンクを使用し、少量生産を行うsuginomori breweryでは、2021年の醸造再開から計53タンクの醸造を行なってきました。
2026年春に販売予定のnarai terraでは、ファーストバッジを含めた複数のnaraiを丁寧に重ね合わせ、最適な調和を目指し、上品な味わいに仕立てたアッサンブラージュとして限定500本販売予定です。
4年の歳月を経て熟成されたnaraiの歴史と新たな表情を、narai terraとしてお楽しみいただけます。
「酒を通じて、この土地に出会った気がする」
飲む人にそんな体験を与えてくれる「narai terra」は”奈良井という土地の名刺”とも言えるでしょう。
デザインにも宿る「物語」: ラベルが語る風景
この2本は、味わいだけでなく、ラベルにも強いこだわりがあります。
narai passageのラベルには、naraiブランドの世界へ足を踏み入れる1本として、これまでのnaraiシリーズのボトルデザインを想起させる山並みが採用されています。
また、ボトルには山を登る人と奈良井の山で見ることができるカモシカがさりげなく表現されています。
narai terraには、地層のような力強い曲線が描かれており、これらは視覚的に「味」を補完し、ボトルそのものが”アートピース”となっています。
日本酒は”嗜好品”から”体験”へ: 旅するように味わうということ
現代は、単に「美味しい」だけでは物足りない時代かもしれません。
何を、どこで、誰と、どんな物語と共に味わうか。
そんな”体験”が求められています。
narai passageとnarai terraは、飲んだ瞬間に「風景」が立ち上がる日本酒。
飲むという行為が、そのまま”旅の続きを描くこと”になるような、そんな体験をもたらしてくれます。
最後に: 時を味わう、という贅沢
「良いお酒」とは、単に香りや味のバランスが良いだけではありません。
それは、その一滴に物語が宿っているかどうか。
narai passageとnarai terraには、奈良井宿の静けさ、土地の匂い、人々の営み、そして未来への希望が、丁寧に閉じ込められています。
もしあなたが、ただの「飲み物」ではない”心に残る一本”を探しているのなら、ぜひこの2本を手に取ってみてください。
それは、旅するように味わう、新しい日本酒との出会いです。
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