その一杯を口にしたとき、自分が大人になったことを、初めて実感するかもしれない。
成人の日。地元を離れて都会で暮らす若者も、久しぶりに町へ帰ってくる。
駅前の小さなコンビニも、役場の掲示板も、どこかそわそわと華やいで見える日。
そんな節目に「地元からのプレゼント」が届いたらどうだろう?
しかもそれが、ふるさとの米と水だけで醸された、日本酒だったとしたら。
“はじめての乾杯”は、思い出とともに
鳥取県智頭町(ちづちょう)。
人口約6,700人、四季の移ろいが美しい山あいの町。
ここに、創業1859年、160年以上の歴史を持つ酒蔵「諏訪酒造」があります。
2026年1月3日に行われる智頭町の二十歳のつどい(成人式)に合わせて、諏訪酒造が届けるのは、町の新成人約50名への特別な贈り物である純米大吟醸「鵬シルバー」と「八上姫ロゼ」の2本セット。
地元産米を丁寧に磨き上げた、まさに”この町でしかつくれない味”です。
「自分が生まれ育った場所の恵みで、人生最初の乾杯をしてほしい」
その願いを込めて、引換券が一人ひとりに手渡されます。
酒は”タイムカプセル”。大人になるとは、記憶を味わうこと
この酒には、ただアルコールが詰まっているわけではありません。
一粒の米が芽を出し、風に揺れ、実り、やがて酒になる。
その過程には、智頭町の四季すべてが閉じ込められています。
だからこそ、諏訪酒造の日本酒は、ふるさとの記憶を丸ごと瓶に詰めた”タイムカプセル”なのです。
進学、就職、夢を追って地元を離れる若者にとって「自分がどこから来たのか」を思い出させてくれる、そんな一本。
たった一杯の酒が、自分のルーツと、これから歩む未来を静かにつなぐ。
そんな瞬間が、たしかにあります。
“目立たない優しさ”が、ふるさとにはある
この取り組みを知ったとき、私は「小さな町の、なんて大きな愛だろう」と感じました。
大きな予算や派手な演出ではない。
でも、地元の酒蔵が、町の未来を背負う若者一人ひとりのために酒をつくり、贈る。
その姿には、都会ではなかなか見られない、人と人との”近さ”があります。
ふるさとの酒を手にした新成人は、こう思うかもしれません。
「この町に育てられたことを、誇りに思う」
二十歳のつどいに、「ふるさとの一杯」で未来に乾杯を
二十歳のつどいとは”昨日までの自分”と”これからの自分”が出会う日です。
その節目に「ふるさとから届いた酒」で乾杯するということは、過去と未来の自分をつなぐ儀式のようなもの。
諏訪酒造の日本酒は、新成人の心にこう語りかけているようです。
「あなたがこれからどこへ行っても、帰る場所はここにあるよ」
大人になるって、きっと、そういうことなんだと思います。
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