ある日。
東京のビルの谷間にたたずむ小さな酒蔵で、一滴の水が生まれました。
その水は、川や井戸から汲まれたものではありません。
空気から生まれた水だったのです。
そしてその水は、やがて米と出会い、杜氏の手を通じて「Air」という名の日本酒になりました。
「空気からつくった日本酒」
そんなSFのような話が、いま現実になっています。
空気を「絞って」水をつくる?未来技術が実現した奇跡の一滴
東京・港区。
オフィス街と高層ビルに囲まれたこの場所に、東京23区で唯一の酒蔵「東京港醸造」があります。
彼らが新しく手がけたのが、大気中の水分から水をつくる「空気製水器」を使った酒づくりです。
この空気製水器は、まるで空気の中に浮かぶ水の粒を、やさしくすくい取って集める”空の網”のようなもの。
その水を磨き上げ、日本酒に生まれ変わらせたのが「Air」なのです。
この装置を提供したのは、株式会社アクアム。
両社が協力することで「都市の空気から酒をつくる」という、世界初の挑戦が実現しました。
「伝統」と「未来」が出会う場所、それが酒蔵だった
東京港醸造は、江戸時代から続く歴史を持ちながら、後継者問題や時代の変化によって一度は幕を閉じた酒蔵。
しかし約 100 年の時を超え、現代の東京に蘇ったその姿は、まさに伝統と革新の象徴です。
この「Air」には、そんな蔵のストーリーが宿っています。
伝統的な技術に、未来のテクノロジーを重ね合わせることで、都市と自然、過去と未来をつなぐ酒が誕生したのです。
私たちはいま「空気を選ぶ」ことができる
この酒は、単に珍しいだけではありません。
「水が足りない未来」や「環境に配慮したものづくり」が現実味を帯びる今「Air」は一つの問いを投げかけています。
あなたが今日、口にする一杯は、どこから来たのか?
この日本酒を味わうことで、ただ酔うのではなく、地球とつながる感覚がきっと芽生えるはずです。
それは、豊かさをもう一度見つめ直す、小さな一歩かもしれません。
「Air」は、飲むたびに語りたくなる
もし誰かに「最近、面白いお酒を飲んだ?」と聞かれたら、ぜひこの話をしてください。
空気からつくった日本酒「Air」のことを。
それは、単なるプロダクトではなく「未来を信じる力」を一滴に込めた物語です。
最後にひとこと
未来の酒づくりは、きっとどこかであなたの選択とつながっています。
今日選ぶ一杯が、明日の地球にやさしいものになる――そんな時代が、もう始まっているのかもしれません。
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