海の底で、時を眠らせた日本酒──「TAKANOME 海底熟成至然 2025 Edition」が語る、静寂と奇跡

「もし、あなたの手元に”海の底で眠っていたお酒”が届いたら──」

そんなロマンあふれる問いかけに、心がふと止まりませんか？

私たちが日々口にする日本酒。
その多くは地上の蔵で丁寧に管理され、出荷のときを待ちます。
しかし、この世には”海底”という想像もしなかった環境で、静かに時を刻む酒が存在するのです。

その名は「TAKANOME（鷹ノ目）」。
ただの高級日本酒ではありません。
「自然と共に生きること」を真っ向から問い直す、哲学そのものです。

海底で熟成？それってどういうこと？
「至然（しぜん）」という名に込めた祈り
味わいの奥行き、五感で感じる熟成
世界に 500 本だけ──特別な体験をあなたの手に
なぜ「TAKANOME」は海に酒を沈めるのか
おわりに──”時間を飲む”という贅沢

海底で熟成？それってどういうこと？

今回発売されたのは『TAKANOME 海底熟成至然（しぜん） 2025 Edition』。
このお酒はなんと、実際に海の底──静岡県南伊豆・ヒリゾ浜の沖合約 500 メートル、水深15メートルの外海で、半年間熟成された特別な一本です。

地上と違い、海底には年間を通じて安定した低温、ほぼ完全な暗闇、そして波による微細な揺らぎがあります。
まるで胎内のようなその環境で、酒はゆっくりと呼吸しながら、静かに熟成していくのです。
その後、マイナス5度の氷温でさらに静かに寝かせ、味わいを丁寧に整えていきます。

「TAKANOME」は、その自然の力を信じ、酒造りを預けました。
まるで育てた子どもを大海に送り出し、帰りを待つ親のように。

「至然（しぜん）」という名に込めた祈り

この海底熟成酒の名に冠された「至然」という言葉は「人の手を離れ、自然の中にその身を委ね、ただあるがままに熟すこと」という意味が込められています。
ただ自然に還すのではなく「人が手を加えることをやめることで、本来の美しさを引き出す」という思想。
意図と無意識、計算と偶然が調和したときに生まれる、鷹ノ目の”至”なる境地を表現しています。

たとえば、強く主張しすぎない香り。
角が取れてまろやかになった味わい。
それはまるで、数年ぶりに再会した友人が、どこか落ち着いた佇まいになっていたような──時を重ねたものだけが醸し出せる、深みと静けさです。

味わいの奥行き、五感で感じる熟成

気になる味わいはというと──一口含んだ瞬間、爽やかで軽やかな口当たりから、丸みのあるまろやかさが広がります。
そこに続くのは、熟成ならではの一体感と調和。
酸味や甘味、旨味が滑らかに重なり合い、舌に心地よくまとわりつく感覚。
そして、後味にほんのりと感じる旨味の層。
時間の重みを舌で感じるとは、まさにこのことかもしれません。

これはもう「おいしい」とか「飲みやすい」という言葉では表現しきれない体験です。
“味わう”というより”感じる”お酒。

世界に 500 本だけ──特別な体験をあなたの手に

この『TAKANOME 海底熟成至然 2025 Edition』は、500 本限定生産。
そのうちのいくつかは、すでに予約販売の段階で完売したとのこと。

ラベルには、書道家・叔僊（しゅくせん）氏による直筆の 1〜500 のシリアルナンバーが書き入れられ、一本一本が唯一無二の”作品”として完成します。
贈り物としても、自分へのご褒美としても、特別な一瞬を演出してくれるでしょう。

なぜ「TAKANOME」は海に酒を沈めるのか

「TAKANOME」は、2019 年の誕生以来、常に”革新”と”伝統”の両立を追い求めてきました。
熟成プロジェクトは、創業者である平野晟也氏の「日本酒業界の熟成分野はまだ未開拓だが、うまさの追求を考えたときに大きな可能性がある」という思いから、2020 年にスタートしました。
その哲学は「日本酒をただの飲み物ではなく、”物語”として届けること」。

現代人が忘れがちな自然との関わり。
人の手を離れ、自然に身を委ねることの勇気。
「TAKANOME」は、酒というメディアを通じて、私たちに静かに語りかけてきます。