はじめに
AIが画面の中だけの存在だった時代は終わりを迎えました。
オンラインで何かを見ながら、その場でAIの意見を聞けるようになる──そんな未来が、ついに現実のものとなったのです。
この革新を実現したのが、マイクロソフトのAIアシスタント「Copilot(コパイロット)」です。ChatGPT と競合する Copilot は、これまで少し後れを取っていた感がありましたが、今回の大型アップデートで、その競争力を取り戻す可能性が出てきました。
2024年12月5日、マイクロソフトは「Copilot Vision」を Copilot Pro のユーザーに向けてプレビュー公開しました。
この機能により、Copilot はユーザーのオンライン活動をリアルタイムで理解し、音声で支援することが可能になりました。
AIの目があなたの活動を支援:Copilot Vision の実力
Copilot Vision は、ブラウジング中の画面を「見る力」をAIに与えました。
ユーザーと一緒にウェブページを読み、閲覧中の問題について議論し、サイトを分析して洞察を提供できます。
まさに、必要な時にいつでも呼び出せるブラウジングアシスタントと言えるでしょう。
実際の活用シーンは多岐にわたります。
ファッションの分野では、Pinterest でコーディネートのインスピレーションを探す際に、AIが画面上の様々なスタイルから最適な提案を行い、さらにユーザーの自信を引き出すような励ましの言葉もかけてくれます。
この自然な会話のやりとりが、まるで実際のスタイリストと相談しているかのような体験を生み出します。
また、ショッピングシーンでは、ホリデーシーズン中の買い物をサポートします。
欲しい商品の特徴を伝えると、表示されているページから条件に合う商品を見つけ出し、的確に提案してくれます。
さらに、美術館訪問を計画する際には、展示内容だけでなく、チケットの購入方法や注意事項など、訪問前に知っておくべき重要な情報を包括的に提供します。
使いやすさと安全性への配慮
Copilot Vision は、Microsoft Edge ブラウザの下部に配置され、必要な時にすぐにアクセスできる設計となっています。
プライバシーへの配慮も徹底されており、完全なオプトイン方式を採用することで、ユーザーの意思を最優先しています。
ブラウジング活動の監視は、ユーザーが明示的に同意した場合にのみ行われます。
さらに重要な特徴として、セキュリティ面での配慮が挙げられます。
Copilot とのセッション中に共有されたすべてのデータ(会話内容やコンテキスト情報を含む)は、セッション終了後に完全に削除される仕組みが整えられています。
これにより、ユーザーは安心して機能を活用できます。
提供状況とサービス内容
現在、Copilot Vision は米国内の Copilot Pro ユーザーの一部に限定して提供されており、対応ウェブサイトも限定的です。
マイクロソフトは、ユーザーからのフィードバックを慎重に収集しながら、段階的にアクセス範囲を拡大していく方針を示しています。
Copilot Pro は月額20ドルのサブスクリプションサービスとして提供されており、包括的な特典が用意されています。
最新のAIモデルへの優先アクセスや、音声機能の拡張利用が可能になるほか、Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Outlook といった主要な Microsoft 365 アプリケーションでも Copilot を活用できます。
これにより、デジタルワークフローの効率を大幅に向上させることが可能です。
まとめ
Copilot Vision の登場は、AIアシスタントの新たな進化を象徴する出来事と言えます。
オンライン活動における実践的なサポートと、プライバシーへの徹底した配慮を両立させた本機能は、AIアシスタントの未来を示す重要な一歩となりました。
ウェブブラウジング、ショッピング、情報収集など、デジタルライフのあらゆる場面で、AIが私たちの頼れるパートナーとなる時代が、確実に近づいています。
Copilot がもたらす新しい体験は、私たちとテクノロジーとの関係をより自然で豊かなものへと変えていくことでしょう。
参考:Microsoft’s Copilot can now see what you see in real time – and speak to you about it
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