それは、寝る前に見た”魔法”だった
いつもの夜。
スマホを片手に、何となく SNS を眺めていたあなたは、一枚の画像に目を奪われます。
それは、どこか懐かしい、けれど見たことのない映像。
風に揺れる草原、空を飛ぶ少女、そして柔らかな光のなかで描かれる不思議な世界。
画面の下に書かれていたのは、こうでした。
「ChatGPTが描いた、ジブリ風の世界」
……え?
これがAIで作られたの?
そう思ったあなたの心の中に、小さな灯りがともります。
それは「AIって、こんなにあたたかいものだったっけ?」という、新しい気づき。
ChatGPT が見せてくれた、まったく新しい景色
この画像生成機能が世界中で話題になったのは、2025 年4月初旬のこと。
SNS を中心に「ジブリ風AI作品」が拡散され、ChatGPT は週間アクティブユーザーが初めて1億 5000万人を超える記録を達成しました。
OpenAI の CEO、サム・アルトマン氏によると、ChatGPT は4月初旬のたった1時間で 100万人のユーザーを獲得したとのこと。
これは、テキスト中心の ChatGPT が最初にリリースされたときに5日間で達成した数字に匹敵します。
まるで、子どものころに出会った”空飛ぶ箒”が、現実の玄関先にそっと置かれていたような驚き。
夢の中の世界が、ほんの少し現実ににじんだ瞬間でした。
なぜ「ジブリ風」という表現に、心が動いたのか
スタジオジブリの世界観には、誰の心の中にもあるような「懐かしさ」が流れています。
夕暮れの田んぼ道、夏の草のにおい、古びた駅舎の静けさ。
そんな風景に、私たちは安心感を覚え、心が自然とやわらかくなるのです。
今回の機能では、ChatGPT の新しい画像生成ツールがその「心の原風景」を視覚化し、まるで記憶の中にある夢をかたちにしたような作品が生まれました。
それは単なるAIによるアウトプットではなく「自分の感情にそっと触れてくれる誰か」と出会ったような体験だったのです。
感情に寄り添うAIの可能性と懸念点
これまでAIは、効率化や作業の自動化といった”ビジネスツール”として語られることが多く、人間らしさからは少し距離を置かれていました。
でも今回、多くの人が初めてこう感じました。
「AIが、人の気持ちを動かせるんだ」
この現象の裏側には、法律専門家やAI専門家が指摘する重要な懸念点もあります。
スタジオジブリの共同創設者である宮崎駿監督は 2016年、初期のAI生成アートについて「完全に嫌悪感を覚える。私の作品にこの技術を取り入れたいとは思わない」と述べています。
言い換えれば、AIの発展は”創造的な可能性”と”著作権やプライバシーの問題”という両面を持ち合わせているのかもしれません。
注意すべき4つのリスク
AIがすごいのは確かです。
でも、その使用には慎重さも必要です。
AI専門家のクリストフ・C・ケンパー氏は、顔写真などの個人データをAIツールにアップロードする際のリスクを警告しています。
生体認証データが保存され、将来のモデルのトレーニングに使用されたり、第三者に販売されたりする可能性があるとのこと。
また、スタジオジブリ、ディズニー、ピクサーなどの特徴的なスタイルを模倣したAI生成コンテンツが著作権侵害に該当する可能性も指摘されています。
その他にも、アップロードされた顔データの悪用リスクや、AIプラットフォームの利用規約における著作権の取り扱いなど、考慮すべき点は多くあります。
それでも、魔法の本質は「人間の想像力」
大切なのは、AIを使う人間の想像力や感受性。
「ジブリらしさ」を丁寧に言語化し「表現の芯」にこだわる人間の想いがあってこそ、新しい作品が生まれるのです。
ChatGPT は筆であり、道具箱です。
でも、どんな絵を描くか、どんな世界を表現するかは、あなたの中にある”何か”が決めるのです。
AIと”心”がつながる未来へ
「AIに感動は生み出せない」と思っていた人も、この新しい機能を見て少し考えが変わったかもしれません。
AIは、人の代わりに何かをする存在ではなく、人の感性や創造力を広げる”共作者”になる可能性を秘めています。
同時に、私たちはその使用における倫理的・法的側面にも目を向ける必要があるでしょう。
それは、まるで鏡のような存在。
あなたの想いや表現が映し出され、かたちになって、また誰かの心に届いていく—そんな未来が、もうすぐそこにあるのかもしれません。
もしあなたが今日、この記事を読んで「ちょっと試してみようかな」と感じたのなら。
それはもう、新しい表現の可能性への第一歩です。
ChatGPT と一緒に、あなたの中の創造性を探求してみませんか?
その際は、プライバシーやデータの取り扱いにも注意を払いながら。
参考:ChatGPT hits record usage after viral Ghibli feature—Here are four risks to know first
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