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命取りになる腸閉塞、AIが手術の必要性を 76% の精度で予測可能に ―『待つか』『切るか』医師の判断を支援する新技術―

AI

ある日突然の腹痛…あなたならどうしますか?

ある日、50代の男性が突然の激しい腹痛を訴えて病院へ運ばれました。
お腹がパンパンに膨らみ、何も食べられない状態でした。
医師がCT検査を実施したところ、「癒着性小腸閉塞(ASBO)」と診断されました。

しかし、ここで重要な判断を迫られました。
この患者さんは「手術を行うべきか、それとも保存療法(経過観察による治療)で対応できるか」の見極めが困難だったのです。

腸閉塞は、速やかな手術が必要とされる場合があり、放置すると腸の一部が壊死する危険性がある重篤な疾患です。
一方で、手術を行わずに回復するケースも少なくありません。
これまで医師は、CT画像や血液検査の結果をもとに経験的に判断してきましたが、完全に確実な方法とは言えない状況でした。

このような背景から、現在注目を集めているのが、AIを活用した最新のCT解析技術です。
青島大学附属病院の研究チームが、2019年から2022年にかけて188人の患者データ(訓練用131人、検証用57人)を分析し、新しい予測モデルを開発しました。

「ラジオミクス」って何? AIがCT画像を分析する最先端技術

今回の研究で活用されたのは「ラジオミクス(Radiomics)」という新技術です。
簡潔に説明すると、CT画像をAIが詳細に分析し、手術の必要性を予測する技術です。

従来、医師がCT画像を判読する際には「腸管の拡張度合い」「腸管ガスの貯留状態」といった視覚的な情報に基づいて判断を行っていました。
しかし、人間の目では捉えにくい微細な変化を正確に評価することには限界がありました。

ラジオミクスは、CT画像から「腸管壁の厚さ」「組織の密度」「周囲の水分量」など、数百種類に及ぶデータを抽出し、AIによる解析を通じて「手術の必要性」を高精度で予測することを可能にします。

研究結果が示した驚きの事実

この技術を使った研究では、経験豊富な放射線科医2名(それぞれ10年以上の経験を持つ)がCT画像を評価し、臨床データと組み合わせた「手術リスク予測モデル」が開発されました。
その結果、このモデルの予測精度は約 76.1%(AUC値0.761)に達し、従来の診断方法を大きく上回る成果が示されました。

この技術が実用化されたら、医療はどう変わる?

この技術の広範な導入により、医療現場は大きな変革を迎えることが予想されます。
不要な手術を回避できる患者が増える一方で、早期の手術が必要な症例をより確実に識別できるようになります。

また、手術が必要な患者を早期に特定できることで、腸管壊死のリスクを低減できる可能性も高まります。
さらに、医療費の適正化にも寄与し、患者の経済的負担の軽減にもつながることが期待されます。

これからの医療に期待! 私たちにできること

現在はまだ研究段階にあるこの技術ですが、将来的に医療現場で普及することで、腸閉塞の診断・治療は大きく進歩する可能性があります。
ただし、この研究には単一施設での検討やサンプルサイズの制限といった限界点もあり、今後さらなる大規模な研究が期待されています。

腹痛や腹部膨満感が持続する場合は、自己判断を避け、速やかに医療機関を受診することが重要です。
早期発見と適切な治療が、健康維持の要となります。

また、このような医療技術の進展に関心を持ち、医療に関する知識を深めることも私たちにできる重要な取り組みです。
医療の進化を見守りながら、自身の健康管理にも活かしていきましょう。

参考:Development and validation of a CT-based radiomic nomogram for predicting surgical resection risk in patients with adhesive small bowel obstruction

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