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24言語対応の欧州産AI始動! 米中の巨人に挑む”デジタル主権”の野望

AI

2025年2月16日、TechCrunch は、欧州連合(EU)が「OpenEuroLLM」プロジェクトを通じて、オープンソースの大規模言語モデル(LLM)をデジタル主権戦略の重要な要素として採用する方針を発表したと報じています。
このプロジェクトは、現在のEU公用語24言語に加え、アルバニアなどEU加盟候補国の言語もカバーする野心的な取り組みとなります。

デジタル主権とは?

デジタル主権とは、国家や地域が自らのデジタルインフラ、データ、技術を独自に管理し、運用できる状態を指します。
例えば、ドイツは以前にクラウドデータを国内に保管する「Gaia-X」プロジェクトを立ち上げ、外部依存を軽減する取り組みを進めてきました。
EUは、米国の OpenAI や中国の Baidu といったテック大手への依存から脱却し、独自の技術で競争力を高めることを目指しています。

なぜオープンソース LLM なのか?

オープンソース LLM は、誰でも自由に使用、改良、共有できるAIモデルです。
フランスの Mistral AI はすでにオープンソースの LLM を公開し、欧州内で注目を集めていますが、興味深いことに OpenEuroLLM プロジェクトには参加していません。
オープンソースは高額なライセンス費用が不要で、スタートアップ企業や小規模研究機関でも利用が可能です。
また、モデルのアルゴリズムやデータセットが公開されているため、EUの GDPR などの厳格なデータ保護規制への準拠も容易となります。

欧州委員会の取り組みと今後

プロジェクトの予算は、モデル開発に3740万ユーロ(うち約2000万ユーロがEUの Digital Europe Programme から)が計上されています。
さらに、スペイン、イタリア、フィンランド、オランダの EuroHPC スーパーコンピューターセンターが計算資源を提供し、その総予算は約70億ユーロに及びます。
チェコのチャールズ大学と AMD 傘下の Silo AI が主導し、約20の組織が参画しています。
最初のバージョンは2026年半ばにリリースされ、最終版は2028年までに完成する予定です。

欧州の未来と期待される影響

この取り組みは、AI分野で米中に後れを取っていた欧州が、独自の技術で競争力を高める契機となります。
医療診断AIや自動翻訳ツールなど、具体的な活用事例が次々と創出される可能性があります。
市民のデータ保護と信頼性が確保されることで、公共サービスや金融、教育分野でもAIの導入が進み、より質の高いサービスの提供が実現するでしょう。

まとめ

OpenEuroLLM プロジェクトは、単なる技術投資にとどまらず、欧州全体のデジタルの未来を形作る壮大な挑戦です。
プロジェクトを主導する Jan Hajič 氏は、たとえ最高性能のモデルにならなくとも、欧州に基盤を置く「良質な」モデルを開発できれば、それは重要な成果になると述べています。
約20の組織による協力体制、充実した計算資源、そして明確なビジョンが揃った今、欧州は独自のAI基盤を確立する大きな一歩を踏み出しています。

参考:Open source LLMs hit Europe’s digital sovereignty roadmap

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